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ブラジル産コーヒーは、コーヒー愛好家なら必ず注目する魅力あるコーヒーの1つです。コーヒーを語る上で、コーヒー生産大国であるブラジルの歴史や独特の栽培方法に関する知識は外せません。
この記事では、ブラジル産コーヒーの特徴や種類、おいしい飲み方を解説します。この記事を読めば、コーヒーの新たな側面を発見でき、日常のコーヒータイムがより豊かになります。
ブラジルのコーヒー生産の歴史
ブラジルのコーヒー生産の歴史は、ブラジルにコーヒーが導入された18世紀後半に遡ります。イギリスの影響もあり、19世紀末から20世紀初頭にかけて、ブラジルは世界最大のコーヒー生産国へと成長しました。
1930年代にはブラジル経済を「コーヒー経済」と呼ぶようになるほどの発展を見せています。1970年代には新しい栽培技術が導入され、生産性が飛躍的に向上しました。
今日でもブラジルは世界最大のコーヒー生産国としての地位を保ち続けています。長い歴史を通じて、ブラジルのコーヒーは世界中の人々に愛され、ブラジル経済にとってなくてはならない存在です。
ブラジルのコーヒー生産の現状
ブラジルは世界最大のコーヒー生産国であり、全世界の生産量の約3割をブラジルが占めています。年間約300万トンのコーヒー豆を生産しており、ブラジルの経済にとって重要な産業です。コーヒーの主な栽培地域は以下のとおりです。
- ミナスジェライス州
- エスピリトサント州
- サンパウロ州
- バイーア州
ブラジル産コーヒーの特徴は、「ナチュラル」または「ドライプロセス」と呼ばれる天日干しの製法です。天日干しの製法により、風味の高いコーヒー豆を生産できます。気候変動によって年ごとの生産量に変動はあるものの、政府の支援や技術革新により生産効率が向上しています。
» コーヒー豆の種類と好みに合う選び方
持続可能な農業技術の導入や環境配慮が進んでいる点もブラジル産コーヒーの特徴です。高品質なスペシャルティコーヒーを生産する農園の数も増加しています。世界的なフェアトレードやオーガニック製品への需要の高まりに伴い、ブラジルでも積極的にコーヒー生産に取り組んでいます。
ブラジルのコーヒー生産量の推移
ブラジルは、20世紀初頭からコーヒー生産大国として多くの人々に愛されてきました。2019年にはブラジルのコーヒー生産量は約3,000万袋に達しています。生産量増加の背景には、生産技術の進歩が大きく貢献しています。
2020年には新型コロナウイルスの流行の影響を受けながらも、依然として高い生産量を維持しました。ブラジルのコーヒー生産量の推移に注目すると、世界のコーヒー市場におけるブラジルの位置付けをよく理解できます。
ブラジルのコーヒーの栽培方法
ブラジルの土壌は以下の条件を満たしているため、コーヒーツリーの成長に最適であるといえます。
- 広大な土地を生かしたプランテーションでの生産
- 豊富な日照
- 適度な雨量
- 水はけの良い栄養豊かな土壌
- 年間を通じての温暖な気候
コーヒーツリーを植えてから実が成るまでには、およそ3~4年の長い年月が必要です。成長までの間には、施肥や病害虫対策などの適切なケアも必要です。施肥は年に数回、成長段階に応じて行われます。病害虫対策として化学農薬の利用や、病気耐性のある品種が選ばれることもあります。
主な収穫方法は手摘み(ピッキング)もしくは機械摘み(ストリッピング)です。収穫したコーヒーの実は迅速に処理施設に運ばれ、実から豆を取り出します。処理方法は水洗処理法(ウォッシュド)もしくは、日干しによる自然乾燥法(ナチュラル)が主流です。
ブラジルのコーヒーの収穫タイミング
ブラジルのコーヒーの収穫は、当年の気候に最も適したタイミングで行われます。地域によっても気候は異なり、収穫の開始時期に差があります。一般的には、乾季にあたる5〜9月頃が収穫に最適な時期です。最適なタイミングを見極めて収穫作業を進めることは、コーヒー豆の品質を保つために重要な要素です。
伝統的な手摘みの収穫方法を行っている地域もあります。近年では効率化のために機械を用いるケースも増えていますが、品質管理のために丁寧な作業が行われます。収穫後の処理方法も品質に大きく影響する要素の1つです。
収穫タイミングと処理方法などへのこだわりは、コーヒー豆の品質を左右する重要な要素です。ブラジル産コーヒーが世界中で愛され続ける理由でもあります。
ブラジル産コーヒーの特徴
ブラジル産コーヒーが多くの人々に愛されている理由は以下のとおりです。ブラジル産コーヒーがもつ魅力を詳しく解説します。
- バランスの良さ
- 多様な風味
- 甘い香り
- 低酸味
バランスの良さ
バランスの良さはブラジル産コーヒーの主要な特徴の1つです。酸味と苦味、しっかりとしたボディ感と滑らかな口当たりの絶妙な調和を味わえます。さまざまな種類のコーヒー豆を混ぜると、さらに独特の風味が生まれます。
» コーヒーの酸味の種類、酸味を左右する要因を解説!
ブラジル産コーヒーはバランスに優れた風味をもつため、多様な淹れ方を楽しめる点も特徴的です。コーヒーメーカーだけでなく、手動ドリップやエスプレッソマシンなど異なる道具を使ってもおいしく淹れられます。
多様な風味
ブラジル産コーヒーは、多様な風味でも多くのコーヒー愛好家を魅了しています。以下の点は、コーヒーの風味に違いをもたらす要因です。
- 土壌や気候
- 処理方法の違い
- 種類ごとの特徴
- 焙煎度合い
高標高で栽培されるコーヒーは、果実味が強い特徴があります。以下の処理方法によって風味が大きく異なります。
- ウォッシュド
- ナチュラル
- パルプドナチュラル
栽培地域やコーヒーの種類も、風味に違いをもたらす要因です。ミナスジェライス州のコーヒーはチョコレートやナッツの風味があり、サンパウロ州のコーヒーはフルーティーな味わいがあります。ブルボン種は甘みと複雑性が特色で、カトゥーラ種はバランスの良い品種です。
焙煎度合いによっても風味は変化します。深煎りにするとスパイシーさが増し、多彩な味わいが楽しめます。多様性があり、自分の好みに合わせて選ぶ楽しみがある点が、ブラジル産コーヒーの魅力です。
甘い香り
甘い香りも、ブラジル産コーヒーの魅力的な特徴です。ブラジルで栽培されるコーヒーの実は糖分を豊富に含んでおり、焙煎過程でカラメル化して独特の風味を生み出します。
ブラジル産コーヒーはナッツやチョコレートを思わせる甘く心地良い風味をもつものが多いです。メープルシロップやブラウンシュガーを連想させる香りをもつ種類もあります。アロマティックで甘い香りはコーヒータイムに贅沢感をもたらすため、多くの愛好家に人気があります。
低酸味
ブラジルの気候は高温多湿なため、低酸味の豆が育ちやすいです。酸味が穏やかでまろやかな口当たりのため、コーヒーが苦手な人でも飲みやすいです。低酸味のコーヒーは酸味以外の香りが引き立ちやすく、豊かな味わいを楽しむのにも適しています。
ブラジル産コーヒーの種類
ブラジル産コーヒーが世界中のコーヒー愛好家から支持される理由の1つは、種類の豊富さです。種類について詳しく知ると、ブラジル産コーヒーの多様性や魅力を深く理解できます。
自分の好みや時間帯、飲むシーンに合わせて異なる種類を使い分け、コーヒーの豊かな世界を楽しむのがおすすめです。ブラジル産コーヒーの主な5つの種類を解説します。
- ブルボン
- カトゥーラ
- カトゥアイ
- ムンドノーボ
- コニロン
ブルボン
ブルボンはアラビカ種に分類されるコーヒー豆の一種です。18世紀にブルボン島(現在のレユニオン島)で発見されたことが名前の由来となっています。強い甘みと柔らかな酸味、フルボディが特徴です。チョコレートやナッツを思わせる風味もあります。
ブルボン種は育てやすく生産性が高いため、世界中の多くの生産地域で栽培されています。 ブラジルではサンパウロ州とミナスジェライス州が主要な生産地域です。伝統的なブラジルコーヒーらしい豊かな味わいと香りを求める方におすすめのコーヒーです。
カトゥーラ
カトゥーラもアラビカ種のコーヒー豆で、高く成長しない品種のため植栽密度を高めやすい特徴があります。病気や害虫に強いため手入れがしやすく、他の品種に比べて生産性が高い点も特徴です。
カトゥーラの風味は豊かかつミディアムボディの味わいです。ブラジルの主要な生産地域で広く栽培されており、ブラジル産のコーヒーを把握したいなら一度は味わってみるべき品種といえます。
カトゥアイ
カトゥアイはブラジル起源の品種です。カトゥアイの木は小さめで高密度に植えられるため、スペースを有効活用して多くの木を栽培できます。病害に対する抵抗力が強く、栽培しやすい利点もあります。主要なコーヒー生産地域で広く栽培されており、農家にとって経済的な品種です。
カトゥアイの味わいは甘みと適度な酸味のバランスが特徴です。チョコレートやフルーツのニュアンスをもち、深みのある風味が楽しめます。ブラジルのほかのコーヒー品種と比較しても、カトゥアイには独特の風味があります。エスプレッソやカプチーノなどのさまざまな飲み方ができることで人気のコーヒー豆です。
ムンドノーボ
ムンドノーボはボウリボンとティピカ種の交配によって誕生したブラジル原産の品種です。病害に対する抵抗力に優れ生産性も高いため、ブラジルで広く栽培されています。
ムンドノーボは良質なカッププロファイルをもつ高級アラビカ種としても知られています。豊かな甘みと滑らかな口当たりが人気です。ムンドノーボを味わうと、ブラジル産コーヒーの多様性と品質の高さを感じられます。
コニロン
コニロン種はロブスタ種に分類されます。品種改良や生産技術の向上に伴い、高い評価を受けるようになったコーヒーの1つです。独特の味わいのある、フルボディでビターな風味が特徴です。
コニロン種のコーヒー豆は濃厚なフレーバーを単体で楽しめるだけでなく、他の豆とのブレンドにも適しています。コニロン種の特性を理解した抽出方法を選んでコーヒーを淹れると、存分に味わいを楽しめるでしょう。
一般的なコーヒーの種類には、アラビカ種やロブスタ種などさまざま種類があります。コーヒー豆の種類や選び方、おいしい淹れ方を紹介する記事も参考にしてください。
» コーヒーの種類
ブラジル産コーヒーのおいしい飲み方
ブラジル産コーヒーの魅力を最大限に引き出す飲み方としては、エスプレッソやカプチーノなどがおすすめです。それぞれの飲み方がブラジル産コーヒーと相性が良い理由と、おいしい淹れ方について解説します。
- エスプレッソ
- カプチーノ
エスプレッソ
ブラジル産の豆がもつ強いアロマと独特のフレーバーは、エスプレッソにするとより際立ちます。おいしいエスプレッソの入れ方のポイントは以下のとおりです。
- ファイングラインド(細かい挽き方)を施す
- 90~96度の湯温で抽出する
- 一杯あたり7~9グラムのコーヒー豆を使用する
ファイングラインドを施すと、抽出時にクレマと呼ばれる美しい泡が作り出されます。細かい挽き方にすると、20~30秒の短い時間でコーヒーのエキスをしっかりと抽出できます。
コーヒー本来の味や香りを損なわないために、90~96度の適切な湯温で抽出することが大切です。一杯あたり7~9グラムの適量を守ると、味のバランスを保ちながらブラジル産コーヒーの独特の風味を引き出せます。
エスプレッソの基本知識や豆の選び方については、以下の記事で詳しく解説しています。
» エスプレッソとは?自宅でおいしく淹れるコツ
カプチーノ
カプチーノはエスプレッソに泡立てたミルクを加えたイタリア生まれのコーヒーです。低酸味のブラジル産コーヒーの風味とミルクの風味が混ざると、滑らかでクリーミーな味わいが楽しめます。
エスプレッソとミルクの比率は1対2が一般的です。カプチーノの表面にシナモンやココアパウダーを振りかけると、風味がぐっと引き立ちます。浅く広いカップを使うのがカプチーノの一般的なスタイルです。
リッチな味わいが朝の目覚めに最適なため、朝食や午前中に楽しむ人が多いです。豊かな風味をもつブラジル産コーヒーで作れば、1日の始まりをより気持ちよく迎えられます。
カプチーノとカフェオレは似ていますが、作り方も味わいも異なります。違いについて詳しく解説している記事も参考にしてください。
» カプチーノとカフェオレの違いとおすすめの飲み方
まとめ
ブラジル産コーヒーは、長い歴史と世界最大の生産量で知られています。ブラジル産コーヒーの特徴は、バランスの良い風味、甘い香り、低酸味などです。
ブラジルでも地域によって栽培方法や収穫タイミングは異なります。ブラジル産コーヒーの主な種類はブルボンやカトゥーラなどです。エスプレッソやカプチーノなど多くの飲み方で楽しめるため、コーヒー愛好家から人気を集めています。
この記事を通してブラジル産コーヒーの深い魅力について理解した後は、ぜひ実際にコーヒーを淹れて味わってみてください。
» 自分好みにカスタマイズ!コーヒー豆の焙煎の楽しみ方